エアコンにお掃除機能は必要ない8つの理由|メリット・デメリットを解説
エアコンの「お掃除機能」は残念ながら不完全な機能です。
「お掃除機能」という名前ですが、何もしなくてもヨゴレやニオイが全く発生しないわけではありません。
必要なメンテナンスを一切おこなわず使い続けているとカビ臭さを感じたり、「エアコンの効きが悪い」といった症状が発生することがあります。そのため、お掃除機能付きのエアコンも、定期的なメンテナンスは不可欠です。
この記事では
- お掃除機能付きエアコンに出来る事と出来ない事
- お掃除機能は必要なのか?
- エアコンクリーニングの料金相場
などについて詳しく解説していきます。
また1つの選択肢として、「お掃除機能なしエアコン」をご紹介しています。
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自動掃除機能つきのエアコンの仕組み
そもそもお掃除機能付きエアコンが自分で「お掃除」できるのはフィルター部分のみの場合が多いです。(一部の上位モデルを除く)
エアコンのフィルターを目詰まりした状態で使用すると気流が妨げられるため、エアコンに負荷がかかり、結果として電気代もかさみます。
財団法人省エネルギーセンターでは、フィルターをひと月に2回掃除するだけで、年間の消費電力が31.95kWh、電気代にして約700円減るという試算を公表しています(2.2kWのエアコンにおいて、フィルターが目詰まりしている場合とフィルターを掃除した場合との比較。
問題は「このエアコンは一切掃除が必要ない!」と多くの方が思い込んでいることにあります。
その結果、知らない間にお掃除機能で「お掃除」できない部分のヨゴレが溜まっていき、エアコンの効きが悪くなったり、いやなニオイがしたり、場合によっては故障してしまう場合があるのです。
内部クリーン機能との違い
お掃除機能以外で最近のエアコンに多く搭載されている機能に、内部クリーン機能があります。送風や暖房機能を使って、エアコンの内部を乾燥させることでカビやニオイの発生を抑制する機能です。
冷房後のエアコン内部は結露してしまうため、カビがわきやすいジメジメの状態となります。すでに発生したカビは取り除くことができませんが、内部クリーン機能を使えばカビやニオイの発生を防いでくれます。
「お掃除機能」はいらない?メリットとデメリット
お掃除機能には、残念ながらメリットよりもデメリットの方が多いです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・日常生活で発生するホコリ程度なら取り除いてくれる |
|
ひとつずつ解説していきましょう。
お掃除機能付きエアコンのメリット
唯一のメリットを上げるとすれば、簡単なフィルター掃除をしてくれる程度です。
料理の油やタバコの煙などは別として、日常生活で発生するホコリ程度であれば、おおむね取り除くことができます。
エアコンは高い場所に設置されていることがほとんどなので、手の届かない女性やご高齢の方には嬉しい機能ですね。
お掃除機能付きエアコンのデメリット
メリットはひとつしかないお掃除機能に対して、デメリットは8つもあります。
- 油やタバコのヤニは取り除けない
- 手洗いしたくても取り外しが難しい
- 構造が複雑で内部に付いたヨゴレは取りにくい
- 故障しやすい
- エアコンの小売り価格が高い
- 自分で内部クリーニングできない
- クリーニングを依頼しても対応してくれない場合がある
- クリーニング費用が通常のエアコンよりも高い
1.油やタバコのヤニは取り除けない
お掃除機能は、洗剤などを使用しているわけではないので油ヨゴレを取り除くことは不可能です。油にホコリが付着すると、さらに取れにくいヨゴレに育っていきます。
お掃除機能は、フィルターに付着したホコリをブラシで取り除いてくれる程度です。
2.手洗いしたくても取り外しが難しい
お掃除機能付きエアコンは、「取り外してフィルターを定期的に洗えばオッケー」という訳にもいきません。
エアコン内部は構造が複雑なため、フィルターの取り外しも一筋縄ではいかない場合が多いのです。
3.構造が複雑で内部に付いたヨゴレは取りにくい
フィルターを通り過ぎたホコリはエアコン内部に徐々に蓄積していきます。一般的なエアコンはある程度知識があれば分解して掃除することができますが、お掃除機能付きエアコンは構造が複雑なため簡単には取り除くことはできません。
4.故障しやすい
最新機能を詰め込んでいるため、通常のエアコンと比べて壊れやすいです。
お掃除機能付きエアコンは、フィルターの自動清掃や内部のダストボックスなど、通常のエアコンよりも多くの部品を持っています。そのため、故障のリスクが高まります。特にフィルターを掃除するための機械部分がホコリや汚れで詰まることが多く、故障の原因になりやすいです。
5.エアコンの小売り価格が高い
お掃除機能に限らず、各メーカー共に新型モデルにはさまざまな機能を詰め込んでいます。
その結果どんどん価格が上がってしまうのです。
6.自分で内部クリーニングできない
通常のエアコンでも内部クリーニングは難しいですが、お掃除機能付きのエアコンは自分でクリーニングすることは絶対に避けてください。
構造が複雑すぎて素人にはとても手がだせません。
7.クリーニングを依頼しても対応してくれない場合がある
業者のレベルにもよりますが、一部メーカーのエアコンでクリーニングを断られやすいモデルがいくつか存在します。パナソニック・日立・シャープなどから発売されている高機能モデルがそれに該当します。
逆にダイキンのエアコンは構造がシンプルなため、断られる可能性が低いようです。
8.クリーニング費用が通常のエアコンよりも高い
お掃除機能付きエアコンの場合、お掃除機能なしエアコンの1.5~2倍とかなり高額になります。
【壁掛けエアコンの料金相場】
清掃項目 | クリーニング料金 |
---|---|
壁掛けエアコン1台 | 8,000円~15,000円 |
壁掛けエアコン2台 | 154,000円〜25,000円 |
壁掛けエアコン(お掃除機能付き)1台 | 13,000円~265,000円 |
壁掛けエアコン(お掃除機能付き)2台 | 259,000円~475,000円 |
消臭抗菌コート(オプション) | 1,5000円〜3,000円 |
室外機洗浄(オプション) | 3,5000円〜56,5000円 |
引用:マイナビニュースより(20242年104月現在)
お掃除機能の有無でクリーニング料金に大きな差が生じることがわかりますね。
手間がかかることが大きな理由ですが、構造の複雑さに起因する部品の破損や故障のリスクにクリーニング業者が備えている料金でもあります。
なぜ多くのメーカーが、この機能を採用しているのか?
これだけデメリットが多いにも関わらず各メーカーは不完全な「お掃除機能」を付けるのでしょうか?そこにはとても現実的な理由があります。
付加価値アップで販売価格アップ
最新の機能をエアコンに付けることによって販売価格の引き上げが可能です。 現在のエアコンはお掃除系の機能だけではなく、省エネ機能・AI機能・モバイルとの連動機能・センサー機能などなど最新機能がてんこ盛りです。
しかしエアコンの基本構造はほとんど変わっていません。
さまざまな機能を付けることで付加価値をアップさせて、販売価格をキープあるいは引き上げている状態なのです。
また競合メーカーと機能面で比べられた際に家電屋さんで「機能が少ない」という理由で負けてしまうことも大きな理由です。
だから「お掃除機能」を外すことは難しいのです。
ダイキン・パナソニック・三菱電機のエアコンでみていきます。
各メーカーのフラッグシップモデル
ダイキン|DAIKIN うるさらX Rシリーズ
出典:ビックカメラ.COM
世界的空調メーカーダイキンのフラッグシップモデル【うるさらX Rシリーズ】です。
「換気ができるエアコン」で有名です。外気を取り込んで、室内の空気を換気する「給気換気」機能と「排気換気」機能を搭載。部屋の空気を常に入れ換えることで、窓を開けて換気する手間が必要なく、フレッシュな状態の室内空調を実現できます。
結露水や加湿水などを使って熱交換器を水洗浄する「水内部クリーン」のほか、従来から搭載しているダイキン独自の「ストリーマ」機能によって、室内機内部のカビを抑制できます。
パナソニック|エオリア LXシリーズ
お掃除機能はもちろん、AIやスマホとの連動など考えつくかぎり全ての機能が凝縮された一台となっています。
さらに従来モデルよりもナノイーXの能力が向上しています。内部クリーン機能は運転が止まるたびに乾燥させた後にナノイーXでカビ抑制をおこないます。こちらのモデルでは内部に付着した油成分まで分解できるとのことです。ただし基本的にはカビや油成分を完全に除去できるわけではありませんので、定期的なクリーニングは必要です。
三菱電機|霧ヶ峰 FZシリーズ
三菱電機といえば「霧ヶ峰」。ロングセラーのルームエアコンです。そのフラッグシップモデルとなるのが「FZシリーズ」です。
お掃除機能としては、エアコン内部にホコリや油が付きにくい「よごれんボディ」を採用しているほか、オゾンの力でエアコン内部のカビ菌を除去する「カビクリーンシャワー」を搭載。電気を帯びたミストが菌などを抑制して脱臭する「ピュアミスト」機能も搭載しています。また、最新モデルでは、新たに換気機能「A.I.換気アシスト」を追加しています。こちらのモデルもダイキン・パナソニックと同様にさまざまな機能が凝縮されています。
AI・換気機能・省エネ性能・スマホ連動など、メンテナンスにかかわる機能以外は劇的に向上していることがわかります。
また内部クリーン機能に関しても油成分を除去できるモデルまで登場しています。しかしこの油除去機能は上位機種のみに搭載されている機能です。また完全に除去できるわけではありません。メーカーの説明書きにも「定期的なメンテナンスをおこないましょう」といった記載があります。
つまり現在の技術では、定期的にプロのクリーニング業者にクリーニングを依頼する必要があるのです。
おすすめの「お掃除機能無しエアコン」
お掃除機能付きエアコンにはデメリットが多く、維持するためにはクリーニング代も高くコスパが悪いことが分かりました。ここからは、エアコン販売と取り付けをおこなうライフテックスがおすすめの「お掃除機能なしエアコン」をご紹介します。
ダイキン|Eシリーズ
ダイキンの「Eシリーズ」です。
ダイキンはアルファベットでシリーズわけされています。
こちらのシリーズはエアコンとして必要な機能にしぼって搭載しているシンプルなモデルです。ダイキンの製品なので「エアコンの効きが悪い」などということはなく信頼性が高いです。「ストリーマ」や「水内部クリーン」(自動お掃除機能ではありません)といった機能は搭載されていますので掃除が難しいエアコンの内部を清潔にたもつことができます。
またダイキンのエアコンはこちらのモデルに限らず構造がシンプルで、エアコンクリーニング業者が本体を分解する際の破損トラブルが少ないところもポイントです。
三菱電機|霧ヶ峰 GEシリーズ
三菱電機の「GEシリーズ」です。
最下位のモデルですが、ダイキン「Eシリーズ」同様シンプルな構造で、フィルターの取り外しもカンタンです。
摂氏46°まで耐えられる室外機や省エネ機能など、エアコンとして必要な性能を凝縮したモデルです。
ダイキン「Eシリーズ」と比較すると若干スペックが劣りますが三菱電機という歴史と実績のある大手企業ならではの安心感がありますね。
アイリスオーヤマAシリーズ
家電メーカーとしての歴史は決して長くないアイリスオーヤマですが、近年では冷蔵庫やテレビ、エアコンなど大型白物家電製品のシェアを伸ばしています。
大手家電メーカーは新機能を足し算するのが得意ですが、アイリスオーヤマは逆に、必要ない機能を引き算することが得意です。エアコンではお掃除機能を引き算、洗濯機では乾燥機能を引き算してリーズナブルな価格を実現しています。
しかしエアコンとして必要な能力はちゃんと備わっていますし、お手入れが難しいエアコン内部のクリーン機能もついています。
エアコンをお得に買う方法
省エネのエアコンに買い替えるとはいえ、本体代や工事料金も安い方が嬉しいですよね。そこで本章では、エアコン取付工事のプロ「ライフテックス」が教える、オトクにエアコンを買う方法をご紹介します。
エアコンは型落ち時期(モデルチェンジ直前)が安い!
家電の多くは1年に1回はモデルチェンジがあります。その時期の1ヶ月ほど前には在庫処分のために型落ちモデルが安く購入できます。
また、家電量販店のセール時期もお得に購入することができます。
一般的に新製品が発売されると古いモデルの家電は売れなくなるため、新製品の発売前には旧モデルは在庫処分のため値段がかなり落ちます。
そのため、モデルチェンジの少し前は型落ちモデルとなった製品がお安く買える時期となります。
エアコンを安く買える型落ち時期については関連記事でも詳しく解説しています。参考にしてください。
▶関連記事を読む
まとめ
いかがだったでしょうか?
もちろん将来的には人の手が全く必要ないエアコンも登場するかもしれませんが、エアコンの「お掃除機能」や「内部クリーン機能」は現在のところ完全ではありません。どれだけ高価なエアコンでも定期的なクリーニングを業者に依頼する必要があるのです。
エアコンの本体価格は基本的に対応畳数と機能の数で決まります。各メーカーともシリーズごとにエアコンの基本性能が違うわけではありません。
そう考えると不完全なお掃除機能は付いていないほうが
- 本体価格の安さ
- セルフメンテナンスのカンタンさ
- クリーニング業者に依頼する際の料金
などいろいろな面でお掃除機能なしエアコンという選択も良いのではないでしょうか?
これから2台目のエアコン購入や、古くなったエアコンの買い替えをご検討中の方には「お掃除機能なしエアコン」をおすすめします。
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よくある質問
お掃除機能付きエアコンのゴミは「ダストボックス」と呼ばれるエアコン内のゴミ箱に保管されます。エアコンの種類にもよりますが、勝手にダストボックスからホコリが捨てられることはなく、定期的に人の手でダストボックスにたまったホコリを廃棄してあげないといけません。
お掃除機能付きエアコンのクリーニングは、通常のエアコンクリーニングよりも部品が多いため手間がかかります。
また、構造が複雑なため対応できる作業員が限られることから、特別料金が上乗せされているのです。
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