【管理組合向け】テレビの共聴設備とは?寿命や緊急時の対応も解説
「共聴設備」とは各部屋でテレビを見るためのアンテナやブースター、分配器などの設備全般をさします。
これらの設備は管理組合で維持・管理をおこなう必要があります。
この記事では
など、マンション管理者に役立つ情報を詳しく解説しています。
どうぞ最後までお読みいただきお役立てください。
マンションでテレビが見られる仕組み
マンションの各部屋でテレビを見られるようにする方法は大きくわけて2種類あります。
アンテナを設置して受信する方法とケーブルテレビの回線を使用する方法です。以下で解説します。
アンテナ
アンテナ
屋上に設置した地デジ受信用アンテナやBS/110度CSアンテナでテレビ放送の電波を受信し、各部屋まで送信する方式。
ケーブルテレビ
ケーブルテレビ
保安器
電源線や通信線において、落雷などによって生じた過剰な電圧・電流から繋がっている機器を保護するための設備で、マンションに引き込む前に設置されている
画像引用:Amazon.co.jp
ケーブルテレビ会社のアンテナでテレビ放送の電波を受信し、保安器を経由してマンションまで引き込まれた電波を各部屋まで送信する方式。
各部屋まではどうやって届く
アンテナの場合もケーブルテレビの場合も共用部の共聴設備を使用して各部屋まで送信されています。
廊下などの収納ボックスにテレビ共聴設備が設置されている場合が多いです。
その中には、ブースターや分配器、各部屋まで伸びているアンテナ線などが収納されています。
ブースター
アンテナ用
DXアンテナ製 CU35MS
CS/BS-IF・UHFブースター
ケーブルテレビ用
DXアンテナ製 CW40HS
CS/BS-IF・CATVブースター
出典:DXアンテナ
大きな違いはケーブルテレビ用のブースターには「上り帯域」「下り帯域」がそれぞれ調整できる点です。
「下り帯域」はテレビ放送をユーザー側に送る信号で、「上り帯域」は逆にインターネットサービスなどをユーザー側から送る信号のことです。
分配器・分岐器
分配器
分岐器
出典:DXアンテナ
一見同じモノにみえますが、じつは機能が大きく違います。
分配器は均等に出力する機器
画像引用:DXアンテナ
分配器は文字通り入力された電波を均等に分配する機器です。写真は2分配器で、入力・出力・出力の3つの端子に分かれています。
分配数は写真の2分配器から8分配器程度まで種類があります。
分岐器はメインの「出力」を生かす機器
画像引用:DXアンテナ
対して分岐器(1分岐器)は入力・出力・分岐の3つの端子があります。「分岐」の端子からの出力を少なくする分、「出力」の端子からの出力が大きくなる機器です。
図にあるとおり、「出力」端子からの電波量は「分岐」端子と比較して圧倒的に劣化が少ないことがわかります。
多くの世帯に電波を届ける必要があるマンションでは複数のブースターと分岐器を利用して配線を設計しているケースが多く見られます。
共聴設備の耐用年数
アンテナ本体はもちろん全ての共聴設備には寿命があります。
設備が古くなると、当然ながら経年劣化により故障する設備がでてきます。
屋上に設置してある地デジ受信用アンテナや衛星放送受信用アンテナはもちろん、共用部ボックスに収納しているブースターも10年から長くても15年間で交換が必要です。
また、故障しなくても
- 地上アナログ放送から地上デジタル放送への移行
- 衛星放送の新規格(4K8K放送)登場
こういった大きな変化の際には使用している設備を新しい規格に対応した設備に交換していく必要があります。
とくに4K放送に関しては大規模な工事が必要になる場合が多いです
画像引用:DXアンテナ
アンテナとブースターはもちろん、分配器や分岐器、区分所有内のテレビ端子も4K放送に対応した設備に交換する必要があります。
また、こうした更新のタイミングで
- アンテナからケーブルテレビへの変更
- ケーブルテレビにBS/110°アンテナ(4K8K対応)追加
- ケーブルテレビからアンテナへの変更
などをおこなうべきです。
既存設備の耐用年数を把握しておくことで設備の更新にエビデンスが発生します。
理事会での議論もスムーズに進められます。
ケーブルテレビ・アンテナそれぞれのメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
アンテナ | ランニングコストがゼロ | まとまった初期費用が必要 |
ケーブルテレビ | 安定した視聴 | 月額の利用料金がかかる |
ケーブルテレビ最大のメリットは、安定した放送受信が可能なことです。
マンションのとなりに高層マンションが建っても電波受信に影響がない点や、近年猛威をふるっている台風や雪害などの異常気象の影響を受けない点でアンテナよりも優位性が高いといえます。
デメリットはやはり月額の利用料金が発生する場合が多いことです。また、エリアによっては、サービスが対応していないためケーブルテレビの導入ができない可能性もあります。
対してアンテナの場合、初期費用として設置費用が高額になることが挙げられます。
しかし設置後はアンテナの寿命がくるまで、10年以上の間ランニングコストがゼロになるメリットがあります。
テレビ共聴設備に関するお悩み解決方法
アンテナ・ケーブルテレビどちらも、定期的な点検をおこなうことでトラブルを未然に防ぐことができますが、現実には入居者から「テレビが映らない」などのご相談が突然やってきます。
そこで、「こんな症状が起こってしまった!」という緊急事態を、どのように解決できるのか、よくあるお悩みと解決方法をご紹介します。
- 特定の部屋から「テレビが映らない」と相談をうけた
- 全棟でBS放送だけが映らなくなった
- 周辺に高層マンションが建ってから映りが悪くなった
特定の部屋から「テレビが映らない」と相談をうけた
ある日突然やってくる「テレビが映らない」という相談です。
特に新たに入居された方からのご相談が多いです。他の部屋から同様のご相談がない場合に考えられる原因は2つ考えられます。
原因①
テレビ端子からテレビへの配線が間違っている
50%程度はこのパターンで、とくに地デジとBS両方視聴できる環境で多く発生します。
テレビやレコーダーには2系統の入力があります。「地デジ用の入力」と「BS用の入力」です。これを逆に繋ぐと地デジもBSも映りません。
- 配線のゆるみなどがないか、テレビ裏の配線をチェック
- テレビ端子側から繋ぎ間違いがないか追いかけていく
原因②
テレビの初期設定をおこなっていない
多くの場合、初期設定をおこなっていなくてもテレビは映ります。
しかし、例えば関西でアンテナを使用して地デジ受信していた方が、東京へ引越してきた場合、アンテナ受信で使用している周波数が異なるため、テレビが全く映らない状況が発生するのです。
各メーカーの手順に従って初期設定(チャンネルスキャン)をおこなう必要があります。
テレビメーカーによって設定手順は異なります。
以下に各メーカーの代表的な設定(再スキャン)方法を記載します。
機種により操作が異なる場合がありますので、テレビの取り扱い説明書をご覧いただくか、メーカーへお問い合わせください。
各テレビメーカー別初期設定方法
Panasonic
チャンネル設定方法 | |
---|---|
VIERA |
~スキャンが開始されます~ |
SONY
チャンネル設定方法 | |
---|---|
BRAVIA |
~スキャンが開始されます~ |
SHARP
チャンネル設定方法 | |
---|---|
AQUOS |
~スキャンが開始されます~ |
TOSHIBA
チャンネル設定方法 | |
---|---|
REGZA |
~スキャンが開始されます~ |
HITACHI
チャンネル設定方法 | |
---|---|
Wooo |
「再スキャン」→「開始する」→「決定」 ~スキャンが開始されます~ |
全棟でBS放送だけが映らなくなった
マンション全棟の入居者から、「BS放送が映らないんだけど!」とクレームが来ていませんか?
都会のマンションでは、地デジをケーブルテレビで、BS放送はパラボラアンテナで視聴しているパターンが多いです。
そんな中、地デジは視聴できているのに、BS放送だけ映らないトラブルが発生することがあります。
原因
BSアンテナの経年劣化による故障
アンテナの耐用年数をオーバーして故障している場合が多いです。
修理することは不可能で、交換が必要です。
まずは迅速にマンションでのアンテナ工事に対応できる業者に調査を依頼しましょう。
原因がハッキリすれば入居者への明確な説明ができます。
家庭用とは比べものにならないほど大きなアンテナですので、業者も在庫をかかえていません。工事まで日にちがかかりますので、早め早めに動くことが重要です。
なるべくBSが見られない期間を短くしましょう。
周辺に高層マンションが建ってから地デジにノイズがはいる
原因
電波到来方向に高層マンションが建つことで電波が遮られ、地デジの受信状況が悪化した
都心部ではまれに起こりうる状況です。新築のビルだけではなく、修繕のために組んだ「足場」でも同様の状況が生じます。
通常、電波補強は後から建設された高層マンション側がするので、管理会社で解決するのはお門違いです。このような場合は高層マンション側のデベロッパーか建設会社に苦情申し立てをおこなう方法があります。
地デジアンテナの方向調整で修正できる可能性があります。
マンションでのアンテナ工事に精通した業者に依頼しましょう。
集合住宅で「テレビが映らなくなった!」というトラブル時は、集合住宅の大型工事ができるアンテナ専門業者にご相談ください。
ライフテックスなら、無料で出張見積もりさせていただきます。
よくある質問
集合住宅のアンテナ共聴設備のトラブル時や新たに導入したい場合には、どこに相談するのがおすすめですか?
一番のおすすめは「ライフテックス」です。6世帯ほどの小規模アパートから、100世帯を超える大規模マンションまで、集合住宅のアンテナ工事も数多く請け負っているため、実績が豊富だからです。 |
マンションの共聴設備の寿命はどのくらいですか?
屋上に設置してある地デジ受信用アンテナや衛星放送受信用アンテナはもちろん、共用部ボックスに収納しているブースターも10年から長くても15年間で交換が必要です。壊れてからの対応では入居者からの苦情対応が負担となり、業者選定も十分に行うことができなくなるため、早い段階で専門の業者に相談しましょう。 詳しくは「共聴設備の耐用年数」をご覧ください。 |
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