【プロが解説】エアコンが冷えない原因は?自分でできる応急処置や修理の費用相場を解説
「暑くなってきたからエアコンをつけたけど、部屋が冷えない」
「冷房をつけても冷えないのは故障?」
このように、エアコンの冷房が効かずお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
冷房が効かない場合、以下の方法を試すことで改善される可能性があります。
- エアコンのリセット
- フィルターの掃除
- 室外機周りの掃除
しかし、これらを試しても改善されない場合は故障が疑われるため、修理や買い替えが必要です。故障箇所によっては修理費用が高額になるケースもあるので、買い替えの方が費用がおさえられることもあります。修理金額の見積もりをとって、修理か買い替えかを検討するとよいでしょう。
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エアコンをつけても冷えない場合にまずやるべきこと
エアコンをつけても部屋が冷えない場合、故障を疑う前にまず以下のことを試してみましょう。
では詳しく解説していきます。
エアコンのリセット
エアコンから冷たい風が出ない場合、まずリセットを試してみましょう。
まれにエアコンが異常動作を記憶していたり、エアコンを制御しているコンピューター(マイコン)が異常を起こしていたりすることで、不具合を起こすことがあります。それが原因であれば、リセットすることで不具合が解消される可能性があります。
エアコンのリセットは以下の手順でおこないましょう。
- エアコンの運転を停止する
- 1~10分の時間をおき、電源プラグを抜く
- 電源プラグを抜いたまま1~10分放置する
- 電源プラグをコンセントに差し込む
- エアコンの運転を再開する
電源プラグを抜いた後の放置する時間は、メーカーによって指定している時間が異なります。10分間おけば確実にリセットできるでしょう。
上記を試してエアコンから冷たい風が出るようになれば、そのまま様子を見て利用しても問題ないでしょう。
注意する点として、リモコンにリセットボタンがついていても、それではエアコン自体のリセットはできないという点です。これはリモコンのリセット用のボタンであるため、エアコン本体の電源プラグを抜いてリセットするようにしてください。
フィルターの掃除
フィルターが汚れて目詰まりしていると、エアコンが空気を十分に吸い込めなくなり、結果として部屋が冷えない原因になります。また、消費電力も上がり、電気代が高くなってしまうでしょう。
そのため、2週間に1回程度のペースでフィルターを掃除することが大切です。
フィルターを掃除する際には、必ずエアコンの電源を切り、コンセントを抜いてからおこないます。
汚れがひどい場合は、取り外す前に掃除機でほこりを取り除いてから外すと、ホコリが舞いにくくなります。フィルターを外したら、さらにしっかりと掃除機でホコリを吸い取りましょう。
水洗いする際には、食器用洗剤などの中性洗剤を薄めて、それを使って歯ブラシなどの柔らかいブラシで優しくこすって洗います。洗い終わったら水分をふき取り、陰干しをして完全に乾かしてから取り付けるようにしてください。
フィルターが湿っているとカビの原因になるため、最後に送風運転で念のため乾かすことをおすすめします。
室外機周りの掃除
室外機の周りが塞がれていたり、ホコリで目詰まりしたりしていると、空気をうまく循環できなくなり、部屋が冷えない原因になります。室外機の周りにものを置いたり、背面や側面のアルミフィンがホコリだらけになったりしていないか確認してみましょう。
室外機の周辺は、前後左右20cm程度の空間をあけるようにしてください。
また、アルミフィンが汚れている場合は、歯ブラシなどでこすってホコリを落としましょう。これで改善されれば、室外機の汚れや空気循環がうまくできていないことが原因であることが分かります。
室外機は、半年に1回のペースで掃除するのがおすすめです。エアコンを使い始める時期になったタイミングで掃除すると、室外機が原因で運転効率が落ちることを防げます。
エアコンで部屋が冷えない原因と対処法
対処法を試しても部屋が冷えないのであれば、故障が原因かもしれません。
修理や交換が必要になる原因には、以下のようなことが考えられます。
では、原因を詳しく見ていきましょう。
コンプレッサーの劣化・故障
室外機内にあるコンプレッサー(圧縮機)は、冷媒ガスを圧縮して高温にするためのものです。冷房は、圧縮して高温になった冷媒ガスが液体に変化し、これが常圧で気体に戻るとき、周りから熱を奪う原理を利用しています。
コンプレッサーが劣化・故障していると、冷媒ガスを圧縮できなくなる、熱交感を十分におこなえなくなるといった不具合が発生し、冷房の効きが悪くなります。
コンプレッサーが劣化・故障した場合は、メーカーや専門業者に修理を依頼する必要があります。コンプレッサーの修理費用は、約24,000〜81,000円と高額になりやすいため、買い替えも検討した方がいいでしょう。
冷媒ガス漏れ
冷媒ガスは、熱を室内機と室外機の間で移動させる役割を持ちます。その冷媒ガスが漏れてしまうとうまく熱が移動しなくなるため、エアコンで部屋が冷えない原因になります。
冷媒ガスは通常漏れたり減少したりすることはありませんが、エアコン取り付けの際の不備や室外機の移動・転倒、内部部品の腐食などによって漏れることがあります。
冷媒ガスは、ガス漏れを起こしている箇所の補修や、ガスの充填をおこなう必要があります。
冷媒ガスが漏れているか確認する方法
冷媒ガス漏れが原因かどうかは、以下の方法で判断できます。
- 配管や熱交換器に霜や氷がついている
- 配管の接続部が油でべたべたしている
- エアコンから水が飛んでくる
- 中性洗剤を使うと泡が出る
- ガス漏れ検知器が反応する
上記の確認方法は、以下の関連記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
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四方弁の故障
四方弁は、エアコンに冷房・暖房の両方の機能を持たせるためのパーツです。送られてくる冷媒ガスの流れを切り替える役割を持っており、この切り替えによってエアコンは冷房と暖房の両方を使えるようになっています。
この四方弁が故障すると冷媒ガスの流れを切り替えられなくなり、冷房運転をおこなっているのに暖かい風が出てくるといったような問題が発生します。
故障の具合によってはかんたんな作業で解消することもありますが、四方弁全体の故障となると約80,000〜170,000円の修理費用がかかるケースもあります。
熱交センサーの故障
熱交センサー(熱交サーミスタ)は、温度を感知して設定温度に合わせた運転をおこなうためのセンサーです。センサーに不具合が起きると、間違った情報を検知してしまい、部屋が冷えていないのに冷たい風が出ないといった不具合が起きます。
熱交センサーが故障する原因は、経年劣化によるものであることが多いため、エアコンが寿命かという点も合わせて確認する必要があります。
エアコンの寿命は一般的に10年と言われています。寿命を迎えたエアコンは、熱交センサーに限らずさまざまな部品が劣化している可能性があるので、買い替えを検討しましょう。
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ファンモーターの故障
ファンモーターは、コンプレッサーで高温になった冷媒ガスを冷やして、熱を放出する役割を持ちます。そのため、ファンモーターが故障すると冷媒ガスを冷やせなくなり、エアコンからも冷たい風が出せなくなります。ファンモーターが故障している場合は、室外機のファンも回らなくなるため、目視で故障を確認できます。
部屋の大きさとエアコンの性能が合っていない
故障以外の原因として考えられるのが、エアコンの性能不足です。設置したばかりのエアコンが冷えないのであれば、性能不足が原因である可能性も考えましょう。
エアコンを購入する際には、「対応畳数」を目安にすると思いますが、これの見方を理解していないと性能不足のエアコンを購入してしまう可能性があります。
たとえば、対応畳数6〜9畳のエアコンがあったとしましょう。この「6〜9畳」は、木造の家で使用した場合と鉄筋造の家で使用した場合の畳数を表しており、「木造なら6畳、鉄筋造なら9畳まで対応」という意味です。
そのため、木造で9畳の部屋に「対応畳数6~9畳」のエアコンを設置しても、性能不足で部屋が冷えない原因になるということです。対応畳数を確認する際は、家の構造に合わせて選ぶようにしましょう。
エアコンの寿命
エアコンを10年前後使用している場合は、寿命が原因である可能性が考えられます。エアコンは経年劣化によって運転効率も落ちていくからです。
エアコンは設計上の標準使用期間が10年とされており、寿命もそれが目安となります。部屋が冷えない以外にも、以下のような症状がある場合は寿命を疑いましょう。
- エアコンから出る風が臭い
- 室内機から水が漏れる
- 運転中に異音がする
- リモコンの操作が効かない
- ブレーカーが落ちる
また、設計上の標準使用期間は一般的な使用環境・使用時間でエアコンを稼働した場合のものです。寒さや暑さが厳しい地域や、一般的な使用時間よりも長くエアコンをつける場合は、10年よりも短い期間で寿命が訪れる可能性もあります。
エアコンの故障で部屋が冷えない場合の修理費用相場
部屋が冷えない原因となる故障の修理費用相場は、以下のとおりです。
原因 | 修理費用相場 |
---|---|
熱交センサーの故障 | 約9,000~18,000円 |
コンプレッサーの故障 | 約24,000〜81,000円 |
ファンモーターの故障 | 約12,000~32,000円 |
室外機の故障 | 約24,000〜36,000円(基板のみ) |
約80,000〜170,000円(四方弁の故障) | |
ガス漏れ | 27,000〜50,000円 |
このように、エアコンの修理は高額になるケースも多くあります。コンプレッサーや室外機の四方弁の故障などは、特に高額になりやすく、場合によっては買い替えた方が安く済むケースもあるでしょう。
エアコンの修理や買い替えを判断する基準
エアコンが故障した場合、保障期間内であれば無料で修理してもらえる可能性がありますが、それ以外の場合は修理すべきか買い替えるべきかが悩みどころです。
エアコンを買い替えた方がいいかは、以下の2つを基準に判断するといいでしょう。
では、これらの判断基準について解説します。
設置してから10年近く経っていないか
エアコンは約10年が寿命だとお伝えしましたが、10年前後使用しているのであれば寿命だと割り切って買い替えることをおすすめします。なぜなら、エアコン全体が経年劣化によって故障しやすい状態になっており、修理をしてもほかの箇所が故障する可能性があるからです。
買い替えるのがもったいないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、エアコンの省エネ性能は年々向上しており、買い替えることで電気代が安くなる可能性があります。特にエアコンの使用時間が長い場合は、年間1万円以上もの節約になるでしょう。
10年前後使用しているのであれば、電気代節約のためにも買い替えを検討してくださいね。
修理の見積金額が高額ではないか
エアコンの修理は故障箇所によって修理費用が大きく変わります。1万円程度で済むこともあれば、10万円以上かかることもあります。
そのため、まだ寿命というには早い段階であっても、保障が使えないのであれば買い換えた方が安く済む可能性もあるのです。
修理の際には必ず見積もりを出してもらい、修理費用が高額な場合は買い替えを検討した方がいいでしょう。
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さらに効率的に部屋を冷やす3つのコツ
夏の暑い日には、エアコンを稼働させてもなかなか涼しさを感じられないことも多いと思います。しかし、ちょっとした工夫をすることでエアコンの冷房効率を向上させることが可能です。以下のようなポイントをおさえて冷房を使ってみましょう。
- エアコンの風を上向きにする
- サーキュレーターを併用する
- 遮光カーテンを設置する
それぞれ詳しく解説します。
エアコンの風を上向きにする
冷房を使う時は、エアコンの風向きを上向きにして使いましょう。
空気は冷やされると下に、暖められると上に溜まるという性質があります。そのため、風向きを下向きにしてしまうと床付近ばかりが冷やされてしまい、室内全体が涼しくなりません。エアコンの冷房使用時は上向きに設定しましょう。
サーキュレーターを併用する
サーキュレーターを使うと、エアコンの冷房効率を向上できます。
冷気を室内全体に届けるには、エアコンの風が落ちてくる場所にサーキュレーターを向かい合わせるように置き、少し上に向けて風を送ってみましょう。すると室内に空気の流れができるため、床にたまった冷気を室内全体に届けることが可能です。
遮光カーテンを設置する
夏は窓から入る日差しによって室温が上がるので、遮光カーテンを設置すると日差しによって室温が上がるのを防ぎ、効率的に冷房を使えます。
エアコンは、設定温度と室内温度の差が激しいほど部屋が冷えるのに時間がかかります。そのため、部屋の温度を上げない工夫をすることで効率よく部屋を冷やすことが可能です。
まとめ
この記事では、エアコンで室内が冷えない場合の対処法や原因を解説しました。最後にまとめをご覧ください。
- エアコンのリセット
- フィルターの掃除
- 室外機周りの掃除
- コンプレッサーの劣化・故障
- 冷媒ガス漏れ
- 四方弁の故障
- 熱交センサーの故障
- ファンモーターの故障
- 部屋の大きさとエアコンの性能が合っていない
- エアコンの寿命
- 設置してから10年近く経っていないか
- 修理の見積金額が高額ではないか
故障の場合は、必ず10年前後使用しているかを確認し、買い替えも検討しましょう。
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