エアコンの耐用年数と寿命の違いとは?修理と買い替えの判断基準を解説
エアコンの耐用年数は、よく寿命と勘違いされることがあります。しかし、耐用年数は寿命を表すものではありません。
そのため、耐用年数を過ぎたからといって、必ずしも買い替える必要はないということです。
ただし、エアコンの不具合の原因によっては、修理費用が高額になるケースもあります。また、故障かと思うような症状があっても、自分で直せる可能性もあるため、症状に合わせた対処法を試してみることが大切です。
この記事では、エアコンの耐用年数と寿命についての解説と、エアコンの不具合の症状別に、故障かどうかのチェックポイントや対処法を紹介しています。
買い替えるべきか、修理すべきかの判断ポイントも解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
エアコンの耐用年数は「寿命」ではない
エアコンには耐用年数がありますが、耐用年数とは寿命のことではありません。
そもそも、耐用年数とは固定資産を通常の用途で使用した際に、本来期待される役割を果たせると考えられる期間です。資産は使用すればするほど物理的に消耗し、価値が下がります。そして最終的には、その資産が持つ役割を喪失してしまうことになります。このように、資産を使い始めた時から役割を喪失するであろう時までの期間を耐用年数といいます。主な耐用年数は、税務署が「主な減価償却資産の耐用年数表」で定めています。
基本的に耐用年数は、企業や事業者などが減価償却費を計算する際に用いられるものです。そのため、耐用年数が過ぎたからといって、必ずしもエアコンを買い替えた方がよいというわけではありません。
では、実際にエアコンの耐用年数はどれくらいなのか、家庭用・業務用に分けてみていきましょう。
家庭用エアコンの耐用年数
先ほどの「主な減価償却資産の耐用年数表」によると、家庭用エアコンは「家具、電気機器、ガス機器、家庭用品」に分類され、耐用年数は6年とされています。
業務用ほど高い冷暖房能力が必要ではないため、耐用年数も短く設定されています。
業務用エアコンの耐用年数
オフィスや広い店舗などで使用される業務用エアコンは、「建物附属設備」に分類され、耐用年数は22kW未満が13年、22kW以上が15年です。
業務用と家庭用エアコンの違いは、ダクトの有無で判断するのが一般的です。天井埋め込み型のエアコンで、ダクトによって吹き出し口が分岐しているものが業務用エアコンに分類されます。
エアコンの寿命は耐用年数ではなく「標準使用期間」で判断
ここまで、耐用年数について解説しましたが、耐用年数が寿命のことではないのであれば、何を基準として考えればよいのでしょうか。
エアコンの寿命は、「設計上の標準使用期間」が基準です。
つまり、一般的な環境・頻度で使用した場合に安全に使用できる期間のことであるため、この期間を過ぎれば経年劣化によっていつ故障してもおかしくない状態になっている可能性が高いといえます。
また、通常よりも長い時間エアコンを稼働させていたり、寒さ・暑さが厳しい地域で使用したりした場合は、「標準使用」には当てはまらないため寿命も短くなることもあるでしょう。
設計上の標準使用期間は通常10年に設定されているケースが多く、エアコンに貼られているシールで確認できます。
【症状別】「故障」かを判断するエアコンのチェックポイント
エアコンの不具合から寿命を疑い、耐用年数について調べたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、以下のエアコンの症状別に、故障しているかを確認するためのチェックポイントを紹介します。
では、それぞれの症状について見ていきましょう。
冷暖房の効きが悪い
エアコンをつけても、室内が冷えない・暖まらない場合、以下の方法で改善されないかチェックしてみましょう。
- エアコンをリセットする
- 運転モードを確認する
- 室外機の周辺環境を整える
- 室内の空気を循環させる
- エアコンのクリーニングをする
これで改善すれば、故障ではないので問題ありません。しかし、改善されない場合は冷媒ガス漏れや室外機の故障などが原因の可能性があるため、修理や買い替えが必要です。
上記のチェック項目については、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコンの効きが悪いのはなぜ?風がぬるい、涼しくならない原因と対処法を解説
急に止まる
エアコンが急に止まる場合、故障ではないケースがほとんどです。なぜ止まったのかを突き止めるために、以下のことを試してください。
- 設定温度を3℃以上変更してみる
- 寒い日なら5~15分様子を見る
- エアコンパーツが適切に取り付けられているか確認する
- エアコンをリセットする
- 室外機の周辺にものが置かれていないか確認する
- 室外機のファンが回っているか確認する
設定温度に達したり、霜取り運転をおこなっていたりする場合も運転が止まることがあります。設定温度を変更したり、少し様子を見たりすればまた稼働を再開する可能性があるので、上記のアクションを試してみてください。
もし、室外機のファンが回っていないといった不具合もある場合は、故障の可能性があるでしょう。
上記のチェック項目については、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコンが突然止まる6つの原因|修理の前に試したい対処法も紹介
ランプが点滅する
ランプの点滅が消えない場合も、故障以外が原因であることが多いため、以下の方法でなぜ点滅しているのかを突き止めましょう。
- 霜取り運転・予熱運転は運転を再開するまで待つ
- フィルターを掃除する
- パーツが正しく設置されているか確認する
これらを試してもランプの点滅が止まらない場合は、故障の可能性があります。
上記のチェック項目については、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコンのランプが点滅する4つの原因と自分でできる対処法を解説
異音がする
エアコンから異音がする場合は、どのような音がしているかによって原因が大きく異なります。
以下を参考に、音の種類から音がする原因を見てみましょう。
音の種類 | 原因 | |
---|---|---|
室内機 | 「キュルキュル」/「カラカラ」 | フィルターの汚れ |
「トントン」/「ポコポコ」 | ドレンホースから空気が逆流する音 | |
「カタカタ」/「ガタガタ」 | 内部の部品の不具合 | |
「キーン」 | コンデンサーやコンプレッサーの不具合 | |
「ギシギシ」/「パキパキ」 | エアコン内部の部品の動作音 | |
「ジジジ」/「ゴー」 | 送風・換気・加湿などの運転時に、専用ファンが回って作動音が大きく聞こえる | |
「ミシッ」 | プラスチックや樹脂製の部品が、温度変化の影響で伸び縮みして起こる軋みの音 | |
「シュー」/「シュルシュル」 | エアコン運転時に冷媒ガスが配管の中を流れる時の音 | |
「プシュー」 | 室外機の霜取りが作動している音 | |
室外機 | 「キュルキュル」 | 室外機のファンモーターが故障している |
「ガラガラ」 | 室外機内部の部品に異常が発生している | |
「ガゴンガゴン」 | 室外機内部の部品が破損している |
このように、故障が原因の場合と故障でない場合があります。長く使用しているエアコンなら、経年劣化によって部品に不具合が出ているケースが多いため、買い替えも検討しましょう。
上記の異音の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコンから異音がするのは故障?キュルキュル・シューと異音がする時の対処法を解説
水漏れする
エアコンから水がたれる、飛んでくるといった水漏れの症状がある場合、ドレンホースの詰まりが原因であるケースが多いです。また、気圧や送風口の結露などで水漏れすることもあります。
以下のことを試して、水漏れが改善されるか確認しましょう。
- ドレンホースの調整・清掃
- フィルターの清掃
- 窓を開けて換気をおこなう
- エアコンの温度と風向きの調整
ただし、エアコンの設置によって水漏れが起こることもあるため、その場合は業者に依頼して直してもらう必要があります。
上記の改善方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
エアコンから突然の水漏れ!応急処置と自分でできる対処法を解説
エアコンが故障した場合の修理・買い替えの判断基準
エアコンが故障している場合に、修理すべきか買い替えるべきか、判断に悩むことがあるでしょう。
その場合は、以下を基準として判断するのがおすすめです。
- 設計上の標準使用期間である10年に近い場合は買い替える
- 修理見積もりを取り、修理が高額になる場合は買い替える
10年近く使用している場合は、修理してもまたほかの箇所が故障する可能性があるため、買い替えがおすすめです。
また、10年近く使用していない場合でも、故障箇所によっては修理費用がかなり高額になるケースもあります。保証期間を過ぎており、高額な修理費用を支払う必要があるのであれば、買い替えた方が費用を抑えられるケースもあるでしょう。
製造年月日から10年を過ぎたエアコンは修理できないこともある
10年前後使用していても、直せば使えるものを買い替えるのはもったいないと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、製造年月から10年を過ぎると、そのエアコンの部品は製造終了している可能性が高く、修理できないこともあります。
そのため、10年近く使用していたり、すでに10年を過ぎていたりする場合は買い替えた方がおすすめです。
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まとめ
本記事では、エアコンの耐用年数と、故障かを確認する方法について解説しました。
エアコンの耐用年数は、家庭用エアコンであれば約6年です。しかし、耐用年数は寿命ではありません。
エアコンの寿命は設計上の標準使用期間である10年が目安です。それ以上になると、経年劣化から、さまざまな箇所が故障したり、修理できなくなったりする可能性がある点に注意しましょう。
また、修理箇所によっては修理費用が高額になります。その場合は、買い替えた方が費用を抑えられることもあるため、まずは修理見積もりを取ることをおすすめします。
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